ジャグリングをやっていない人とジャグリングの演技を見に行くと、時たまこんな感想をくれることがあります。
意識してみると思いの外いろんな人がこんな感想を持ってるようで、ジャグリングの演技に付随する「分かりにくさ」というものが気になってきます。
「何をやっているのか分からない」という評価そのものは、それだけではネガティブな評価ではもちろんありません。
しかしよく耳にするこの感想は、よくよく聞いてみるとどうも
「ジャグリングをやっているあなたは楽しめるかもしれないけれど、わたしはちょっと見れば満足。だってずっと同じことやってるだけでしょ?」
そんなニュアンスを含んでいるようでした。
もちろんその時に観たジャグラーが、ずっと同じ技を5分間続けていたなんて訳はありません。
高い技術力と多彩なバリエーションを織りまぜた様々な技を披露していたのにも関わらず、上記のような感想が出てしまっていたのです。
しかし数学をやっていない人がいろいろな数式を見たときに、単なる文字の羅列で全部一緒に見えてしまうのと同じように
ジャグリングをやっていない人は単なる技の羅列では全部同じに見えてしまうんです
いくらルーティンに入れる技数が多くても、それを同じ技だと見られてしまえば元も子もありません。
圧倒的に見栄えの違う高難度の技をいくらでも持っている上級者ならまだなんとかなるかもしれませんが、技数の少ない初中級者にこれはまさに死活問題です。
そんな問題になんとか立ち向かってもらおう。それがこのWS「座布団は椅子なのか」のメインテーマです。
前置き長いでしょう。知ってます。そういう子なんです。
でも、一番大事なのはメソッドそのものよりそのメソッドが必要な理由だと思っています。
WSの内容を超えて、自分なりの方法を模索しようとしたとき一番大事なのはメソッドではなく乗り越えるべき問題ですし、そもそも体験してもらうことに主眼に置いたWSの説明をだらだら続けるよりは、その背景の説明に時間を咲いたほうが実際に試してみると気に有効だとも思います。
さて、さらなる前置きが始まってしまう前に本題に入っていきましょう。
タイトルにある「座布団は椅子なのか」の一文。
どう思われますか? 座布団は椅子でしょうか?
「椅子だ」と即答出来る人から「椅子じゃない」と即答できる人、悩む人、この文そのものに文句を言い出す人、いろいろいると思います。
でも
座布団、PC、リクライニングチェア、トースター、パイプ椅子、ベンチ、冷蔵庫、電子レンジ
こんな単語群の中から
「座布団をなんかのカテゴリーに入れて」
と言われたら、多くの人が座布団を椅子と同じ物としてカテゴライズすると思います。
しかし
座布団、クッション、テーブル、テーブルクロス、棚、椅子、絨毯
こんな単語群だったらどうでしょう。
前のものより分けづらい単語群ですが、座布団を椅子と同じカテゴリーに入れるひとはぐっと減るのではないかと想います。
このように、何かについて理解、整理しようとするとき他のものとの性質を比較して評価を下す行為は我々の日常にありふれています。
端的に言い換えると
人はものごとをカテゴリー分けして理解する
と言うことが出来るでしょう。
この特性をジャグリングにも適応してみよう、そんな試みです。
夢トランクのWSでは、初中級者のジャグリングの演技において主眼は道具や技である、という前提のもと主に「道具の使い方」という側面でカテゴリー分けを行っていきました。
「自分の使うジャグリング道具の使い方で異なったカテゴリーを考える」という題を与え、実際に参加者に道具の使い方を考えてもらいます。
さて、このワークをするときに、是非気をつけていただきたいことの一つに
「技術習得を目的としたカテゴリー分けは一旦忘れる」
というところがあります。
ボールでいうなら例えば「ミルズメス系」「シャワー系」、デビルスティックで言うなら「ソー系」や「アイドリング系」など教本に書いてあるカテゴリー分けは技術習得を目的とした場合は有効ですが、お客さんからどう見える化を基準にした分け方ではありません。
デビルスティックのソー系の技を例にあげると、縦向きのソート横向きのソーではお客さんにとって印象は違うでしょうし、横向きのソートプロペラはおそらくほぼ同じことをしてるように見えるはずです。
今回の目標は「よく分からない」ジャグリングからの脱却であるということを意識して、ひとつひとつの技道具の使い方が何をしているように見えるのか注意してカテゴリーについて考えてみましょう。
もちろん道具によって出てくるカテゴリーは違いますし、同じ道具でも持ってる発展技の種類やその人の完成で様々なカテゴリーが考えられます。
柔軟な発想を心がけ、同じ技で別のカテゴリーを考えてみたり、普段の練習でもカテゴリーを意識して技に取り組む時間などを設けると効果的でしょうね。
ルーティンを実際に作る際にはこうして分けられたカテゴリーを利用して、同じカテゴリーの技はひとつの小構成にまとめるように気をつけてみます。
そうすることで、見ているお客さんが「今は何々をしているパート」と理解しやすくなります。
お客さんにこの理解があれば、その枠の中で様々な発展を見せたときにそのカテゴリーをヒントに変化に気づきやすくなります。
例えば演技中唐突にビハインドザバックを単発でやっただけでは見逃されることもあります。
でも事前に簡単なボディスローをいくつかやったあとならば「あちこち身体を通す技をやっているんだ」お客さんのボディスローへのセンサーは高まってますから技や変化に気付いてもらいやすくなります。
もちろんこういったお客さんが期待する「予定調和」を裏切るのもまたテクニックのひとつですが、それはまた後の話。
まずはしっかりとお客さんに分かりやすい演技を作るべく、技のカテゴリー分けから初めてみましょう。
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