3.27.2013

iD覚書

シルクエロワーズによるiD東京公演、あまりに素晴らしい出来に二回見に行ってしまいました。
参考にしたいこと、忘れたくないことが溢れていたので備忘録。

ネタバレの塊です。




こんなの

【全体】
HIP HOP CIRCUS」と称する通り、ヒップホップカルチャーをイメージさせる舞台、衣装、演出で、主にストリートダンスを共通言語に構成を組み立てていた。
出演者は15人で、内4名はサーカスアクターでなくダンサー。4名ともブレイクダンスは出来て、ブレイクメインなのが2人と、ロッカーとヒップホッパー。ヒップホッパーだけ女。舞台セットは若干抽象性が高い、なんとなく街の建物が連なったような印象を与える巨大な装置にプロジェクションマッピングで様々なものを投影して舞台を彩っていた。

演目中に後ろで他メンバーが踊ってたり、それにメイン演者が混ざったり、オムニバスっぽい構成は大切にしつつも非常にシームレスな舞台空間を演出していた。ダンサーと数名を除き二演目以上こなすメンバーが多く、出演者数を客が顔を覚えられる人数に抑えつつ二時間がっつり見応えのあるショーになっていた。

演出手法としては全体的に異なるものの共通点を見つけていくのが非常に上手い。具体的なものは各演目の感想で。


【ハンドトゥハンド】
開演し明転すると、ダウンタウンの雑踏のようなシーン。服装は無機質で、でも動きは個性的な、そんな雑踏。
ふとした瞬間全体がスローになり、その中普通の速度で歩いてきてすれ違う男女。声をかける男と、突っぱねる女。そんな中から生まれるコミュニケーションをハンドトゥハンドで表現。片方が相手に触れたり、相手を動かそうとすると、もう片方はそれを避けたり、従ったり、反発したり。そんな触れ合いから発生する力が色々な関係性を連想させて情緒にあふれる。演目始まりかけのタイミングで一旦雑踏の中でただすれ違った瞬間の絵をもう一度見せてから、改めて演目を始めたことで二人の肉体的な関わりがあくまで精神世界のものであることを強調する。

女性が今時のフライヤーには珍しく割とパワフルな体格で、男性との体格の差をあまり感じないせいか一般的な技でも非常に見応えがあった。力押しの静止系の技は少なく技術面では手の上で行う倒立がほぼ全て。女性が足にしがみついて男が歩くと女性が必然的に転がる動き、男の掌を順に踏みつつ歩いてくムーブは覚えておきたい。表現として印象的なだったのは対角を向いて静止してから二人同じタイミングで振り向くとことか。素敵。
ところでベースの片手にフライヤーが両手で掴まり倒立する技は難易度の割に非常に見栄えが悪いんじゃ、と。トリ技にはきついんじゃ。

【チャイニーズポール】
ハンドトゥハンドの終わりと共に、女性の仲間と思われる面々が現れ二人の間に入る。そうすると男の仲間も現れ、対立の様相。舞台背景も相まりウエストサイドストーリーを思わせる。両グループのリーダー格がそびえ立つポールの周りで合間見える。

周りにかなりの人数がいて色々踊ってる中、メインのポールアクターとブレイクダンサー12名が競い合うように技を出し合う。主にポールの技の性質から指向性や緩急をデフォルメして後ろの振りやブレイクダンサーの技とつなげていく。技と技の合間、ポールから降りた時などダンサーに混じってユニゾンを踊ったり、ユニゾンを踊るダンサー達の間を駆け抜けたりと単なる技の出し合いにとどまらない舞台の使い方が演目のテンポを非常によくコントロールして、舞台全体のみならず客席まで含めた空気を作っていた。一見関係のないダンスを挟んだりすることでマイナスの要素が出たりしてもおかしくないもんだと思うんだけど、何よりポールの兄ちゃんのポーズ時、技前、技後などの呼吸というか緩急の付け方が上手くて、そういった足されている要素が非常にいい感じに効いていた。

【移動芸術】
ポールが終わると少し緊張感がほぐらるテンポのいい曲が流れる。それに合わせ最初はダンサー数人でパルクールの各種技法をヒップホップ風にアレンジした踊りを始める。そこにインラインスケートや自転車も混ざり、舞台上、むしろ劇場を余すところなく使い街中をところ狭しと動きまわる疾走感溢れるシーンを展開する。

幕間的な目的で作られたシーンではあるのだろうけれど、自転車の曲乗りはかなりアクロバティックなことまでやっていて十分演目として見応えのあるシーンだった。昨今パルクールがケベックですごく流行っていることもあり、それをいち早くダンスとしてサーカスの文脈に持ってくる先進性が素晴らしい。元々パルクールは見せることを前提にした技術でないところを、無理に演目にしたてたところでアクロバットやブレイクダンスに見劣りしやすい中、ローラースケートと自転車という2つの「移動手段」を合わせることで街中を走り抜けるストリートアーティストというコンセプトを共有しヒップホップサーカスを謳うiDらしいシーンを作り出していた。舞台全域で現象が起きているシーンが多かった中、技術的に集中度を上げたいときには自転車など動きの大きいもの動きとブレイクのステップや振り付けの手などの細かな動きを同期させたりして、散漫になりがちな絵の統一感を「移動手段」というコンセプトから一段上のレベルまであげていた。ちなみにこの演目の直前に兄ちゃんが一人コンテっぽい動きから前宙をしていて、それが実に素晴らしかった。タメを一切見せない感じで、振りの流れで手が膝に触れた瞬間に前宙。あれは惚れる。

【コントーション×ブレイクダンス】
大人数が街中を駆けまわり派手な立ち回りを繰り広げてる裏で、街の裏では1組の男女が共に時間を過ごしていた。コントーショニストとブレイクダンサー。ヒップホップとサーカスが混じらなければ共に踊ることはなかったであろう、そんな2人の人間離れした踊り。

後半にもコントーションがあることもあり時間は短めだけれどもかなり刺激された演目。前半はコントーションの特徴的な形に、ブレイクダンサーが似た形で合わせる。コントーションならではの人間離れした姿勢と、ブレイクダンスの技術を使って静止する姿勢が想像以上にマッチしている。コントーションはどうしても「エグい」とか「びっくり人間」みたいな印象が先に立って演目として集中力を維持するのが難しいと思っているのだけど、ブレイクとコントーションの形の共通点を見せていくという導入にすることでコントーションのエグさが緩和されてコントーションを見るのが辛い層にも楽しみやすい感じになっている。前半は片方がポーズを取ったらもう片方が、と交互に動く、といった感じでゆっくりと見やすいペースで進行して現象に慣れてくるころに2人の絡みやユニゾンが多くなってくる。最後はユニゾンだけでなく片方が取った低い姿勢をブリッジで越えてみたり、相手に触れて動かしたりと2人ならではの動きも混ぜてテンポを上げていき、演目としての満足感をあげていた。

【ジャグリング】
たくさんのペンキ職人たちが現れ街並を塗りつぶしいく。プロジェクションマッピングで表現された飛び交う黄色いペンキ。ペンキのしぶきがボールに姿を変えて始まるバウンスジャグリング。

前半の中で特に強くショーアップされていて、なおかつ演目事態のクオリティも非常に高かったことで1部を一気に盛り上げる重要な演目になっていた。公演を通してかなりレベルの高いサーカスアクトが多い中でジャグリングがこれだけの存在感を示してくれたのは本当純粋にとても嬉しい。最初ボール一個で遊んだあと一端バックダンサーであるペンキ職人達が前面に出てきて演者を隠し、どけたら既に3ボールカスケードを初めていたことでジャグリングが陥りやすい「なぜジャグリングするのか」という理不尽なお客さんの問を問わせることなく自然にジャグリングを初めて当然のような空気を作っていたのは見事。壁面にぶつけてやるタイプのパターンをかなり行なっていたが、メインアクトに入る前にアクリル板(ペンキ職人の演出からおそらく建築中のビルのガラスイメージ)をバックダンサーが大量に持って歩いていてそこにボールを転がしたり跳ねさせたりする演出が、バウンス用のアクリル壁面の異物感を見事に取りさらっていた。床アルバートを後ろの壁面にぶつけてやる技すごく好き。寝転がってオーバーヘッドで床と壁バウンスさせるのとかも。アピールや、技の合間なんかにヒップホップっぽいステップが多々混ぜられていたのが印象的。

【エアリアルリング】
空中に吊り下げられたリングに捕まり展開する力強い女性のソロ。

最近結構アメリカのサーカス界、特にクラブイベントなんかで好まれる作風のリング。リングはコントーションと組み合わせる人が多い中、今回コントーションが公演の中でかなり存在感を発揮してることもあり開脚系ぐらいしかなんたい技は入っていない。低音の響く曲でかなり力強く踊る演技で、かなりギリギリのところを筋肉で力強くとどまる感じの技が多い。普通のリングに比べやや男性的で、強い女、というのをすごくよく表現していた。なよなよしたエアリアルが多い中、とても素敵。ただコントーション的技が少なめだったこともあり演技時間に大して少し冗長な側面も。短くまとめて、もっとバキバキに音ハメして欲しかったという欲は若干。ちなみに最初のハンドトゥハンドのフライヤー。

【ジャンプロープ】
出演者総出で大縄。

アクロバットとブレイクダンスはもちろん、トライアルバイク(自転車)やインラインスケートも混ぜることで全員の見せ場となっている。大縄、普通の縄跳び、ダブルダッチなど。そんなに目新しい感じはないのだけれども、今回の公演においてバックダンサー扱いされてしまいかねない4人のダンサーの見せ場が多く、実質的にはダンサーのための演目だったという視点で捉えるべきなのだとおもう。この演目があることで一気に4人のダンサーの存在感というか、ソロやってるアーティストとの対等感が作れていた。


ー30分休憩ー 
30分は長いと思う。更に言うと公演の総時間考えるとなくてもいいレベル。ところで、開演時と休憩終わり、照明がものすごくゆっくり暗転していっててそれがとてもよいと思いました。期待感がすごく煽られる上、安全面でも信頼性が高い。演出によるけど、結構真似したいところ。

【倒立】
少し暗めの照明の中、舞台のあちこちに立ち小さな椅子をパスしあう。小さな椅子をいくつか積み重ねてるうちに大きな椅子もまざり、一人の男が中心に置かれた椅子の上で倒立を決めると一気に舞台上の空気が変わる。

二幕しょっぱなから相当の見応えのある演目。椅子1,2個の倒立を少しやった後、雑技式の直立型のイス倒立。1個、2個のシーンは後ろでダンサーが踊っていて、倒立の瞬間や崩れるとき、座るときなどの呼吸や緩急を見事に共有していてよい。バックダンサーも皆椅子に座った状態で、倒立終わりに前拳一回通ってから座る、その座る脱力の瞬間に全員が脱力して下に行った瞬間がすごく好き。2脚をナナメに組み合わせて倒立して、倒立終わりに縦に戻ったところに座るのも好き。地味に倒した椅子をフットキャッチはオシャレだと思う。後半は雑技式の直立式イス倒立。揺らすのはズルいよ笑 ちなみにこの倒立やってたキャストが全編通してすごくスター性のある感じの人で、すごく魅力的だった。

【トライアルバイク】
(客上げ、あまり演出はない)

客上げ、ちょいいじってから寝かせてその人の腕やら脚やら身体やらを自転車で飛び越えまくる。客上げでやってるとはとは思えないぐらいゴリゴリ何回も、色んな飛び方をする。飛び越えるかと思いきやブレーキ、とかそういうのが嫌味なくテンポもかなりよく配置されている。見応え抜群。割と雰囲気変わって集中力を作り直せる演目だったので、公演を2時間公演にしてこの演目を中らへんにいれれば十分だったんじゃ、と思ったり。

【コントーション】
日が沈み虫の声が響く街の外れ、男は一人物思いにふける。男が気配を感じると、そこには見覚えのある女がいた。

ブレイクとコントーションの演目でやってた2人が再登場なのでおそらく再開的な演出だとは思うのだけど、いかんせん女の子が人間に見えないのであまり情緒は感じない(笑) どちらかというとなにか得体のしれない魔法生物にちょっかいを出されている感じに見える。演目自体はコントーション界隈で言えば近年稀に見る良演技。女性の行うものだと一番好きかもしれない。ブレイクと組み合わせた時同様、コントーション技術はふんだんに使いつつも、技としてでなくシーンを作るための要素として使っているため心持ち安らかな気分で見れる。体勢自体はえげつないのだけどやってることはちょっかいを出しては逃げる、といういたって少女的可愛さに溢れる行動。怪獣ツインテールみたいな格好で段差を登るのは大変刺激的な見た目で楽しかった。あと、プロジェクションマッピングで作った渦の中心に入ってくのは言葉にする以上に良い見た目。

【エアリアルストラップ】
雑踏で昼間、自分たちの女に手を出してきた男を、リーダーはついに捕らえる。縛り付けたもののまだ抵抗する男をおとなしくしようとリーダーは殴りかかるも、縛られた男は果敢に歯向かう。男の行動を制限していた紐は、いつのまにかその男の強さを証明する道具となっていく。

一般的なエアリアルの中で、難易度と見栄えのコスパの悪さからおそらく最も見せづらいストラップという演目の範囲で見ると、びっくりするぐらい面白かった。ただ、どうしても他エアリアル、アクロバットなどに比べて演目的に不利な感じは否めず。殴りあうシーンで、動きを大きく見せる道具として使われていたシーンは文句なしで面白い。後半ソロになってからは、そんなに時間自体長くないにも関わらず飽きやすい。ストラップは稀に面白い人もいるんだけど、なかなか難しい演目なんだと思う。腕に巻き付ける登り方の後、回りながら落ちていく技の最後の止まり方は絶対十字懸垂より背面水平のほうがいい。十字懸垂は伝わらない。ちなみにハンドトゥハンドのベース。

【シルホイール】
最初、床に置いたシルホイールの中に女の子が一人座っている。シルホイールの描く円の外から別の女が語りかける。女を囲み閉じ込めていた輪はいつの間にか自由に舞うための道具となる。

とりあえずこの演目を境にグループが和解するようです。ただイマイチコンセプトとか流れはわからない。あれだな、お芝居を詰め込みすぎな割に演目が普通のルーティンってやつ。いさぎが悪い。
輪を床に置き、それをエリアを区切る道具として使って、その内外のコミュニケーションをダンスで見せるのは比較的面白い。ただiDの新規性溢れる演出の中では少し見劣り。でも作りやすくて見栄えのいい、便利な手法。演目自体はいたって普通のシルホイール。シルホイール面白い人はかなり面白いと思うのだけど、この演技は割と単調さが目立っていた。ただ、考えてみると女性ソロのシルホイールというものでそこまで面白いものに出会ってない気もする。

【エアリアルティシュー】
夜の空、雲の上、1組の男女が踊る。布を身体に巻き付け空を舞う女と、雲の間をすり抜ける男のラブストーリー。

スモークを炊き、暗めの青い照明の中エアリアルティシューとインラインスケートの2人による演技。構成の主はティシューだけれど、スケート男の存在感もかなりあり割とデュオな印象が強い。インラインスケートの上下動なくなめらかに進む感じと、エアリアルパフォーマンスが見事に一致していた。スモークによって足元が見えなくなっていた効果も大きい。下で補助を要する類のティシューの技をやる場合の補助者はもはやスケートが絶対的な正解なんじゃないかと思わせるほど。ティシュー自体のルーティンを抜き取ってみると、若干シュート(落ち技)の使い方が構成的な意味で下手な気も。シュート系は足首巻いて逆さになるやつと早い版ヘリコプター(どっちも正式名称分かんないや)の2種類だったのだけど、ひとつめ足首のやつをニードロップとか、逆さ開脚状態で落ちるやつとか自由落下の印象が強い技に変えて、もうひとつ前半に置いたほうがお客さんの全体的な集中力が高まりそう。

【トランポウォール】
ぴょんぴょんすごい。

典型的なウォールトランポリン。半分以上の演者がトランポリン演者として出演。みんな出来るとは。最初高いところに人がいて、その人が落ちる瞬間プロジェクションマッピングで壁も崩れていく絵はハッとさせられる素晴らしい感じ。youtubeでPV見てたときは見づらくなるんじゃないかと懸念していたんだけど全くそんなことありませんでした。というか演者に壁絵が当たってなかった気がして、認識出来たプロジェクターが4台で、なんかその角度からだと不可能な気がするんだけどどうだったんだろう。演者のアクトエリアだけ強い照明ぶつけて消してるってこと?それだけであれだけ綺麗に差を出せるならプロジェクションマッピングを一般的な舞台に導入する難易度はぐっと下がりますね。この演目終わりから、すぐまた曲かかって全員で踊りだすのはとてもラ・ヌーバっぽい。そういう印象になってしまっていいのだろうか。ところで、その時の動きがブガルーで、別にヒットそんな打てない人達もやってたけど割と問題なくよく見えたのが面白かった。形だけでも案外ありなのか。もちろん演目じゃなくてカーテンコールとしてだからこそ許されてる側面も無視できない。






2.25.2013

夢奇房第十回公演感想

アマチュアのマジシャン、ジャグラーで主に構成される団体、夢奇房の定期公演に行って参りました。

ざっくりと感想、批評など。思ったことそのまま書くので辛口嫌な人は回れ右。基本的には批評として関係者に届けたい趣旨が強いのでレポートみたいなの見たい人も回れ右かも。



とりあえず全体演出に関して。

中身としては社会人がメインとなってやってる趣味の無料公演公演とは思えない、クオリティの高いものだったと思います。
個々人の演技のレベルが高いのはやっぱりさすが。

ただ全体をまとめての感想としては、目当ての数人の演技を見るために演出の自己満足に付き合うというチケット代を払わされてる感は拭えない。
クオリティの高い部分はあるだけに、演出的な要素で残念な気持ちは多い。

後半は演者の質が上がり、テンポもそこそこよくなったおかげでかなり見応えがあってとてもよかったけれど、前半のテンポの悪さと見応えのなさはつらい。これは演出的、演者的両側面から。演順の問題も考えると主に演出の問題か。

最大の問題は説明的なシーンやセリフの多さ。

前半で顕著ですが、世界背景やストーリーを説明することに主眼を起きすぎてお客さんを置いていっていた感じだった印象。
最近マシになったような気もしてただけに正直悲しい。

そのせいで冷めた感情をなんとか保てるような演者が前半には存在しなかったのもひきずって、、気分的にはバルーンがオープニング、ニワトリが第一演者って感じ。そこからやっと落ち着いて見れる感じに。

演出が上手ければ見れた演者も、さすがにあのテンポの悪い中に突っ込まれたら死に体。
某人の「演者は悪くない」という言葉はちょっと演出部は重く受け止めるべきかと。
正直正直、これならオムニバスのほうが楽しいよなぁと思う。
素人のやるミュージカルなんかと比較してどうだろうと思うと、やっぱ演出的側面は頑張らないとまだまだきついと思うのです。

人間関係や状況、心情なんかは簡単な振り付けでどうにかなる場面も多いのだけれど、そこをひたすらセリフとかキャラ同士が向かって会話するようなシーンに頼って作ってしまったことで落ちるテンポが致命的。

あと、キャラクターの演技が演出と乖離してる感じが今年は特に強かったですね。
キャラクターの紹介をして、そのキャラクターがルーティンをやる、って流ればっか。(こういうのも1舞台中数回だけならもちろんあり)
演技の結果状況が変わったり、特定の状況下での行動を表現するような演技が全然なかったのがとても寂しかったです。

エンドがつらかったのは、僕がすれてるからですかね。そこはいいや。



あとは個々の演者とその界隈。個人的交遊のある方は連絡くれればもう少しまじめに批評しますよ。割とすぐ忘れそうだけど。

3ボールジャグリング
ちょっとおかしな感じのクラウンによる3ボール。とにかく見にくい!!THE一年生に見せる悪い見本。ジャグラーはいろんな技見慣れてるからついてけるけど、ジャグラー以外の観客が多い環境でのパフォーマンスにしては見づらいとしか感想の言いようがない。身体がブレてるせいで技自体の視認性が低い上、何をやってるパートなのかを提示することなくだらだらと技を繋げる感じ。本当はすごくいいジャグリングをする人で、キャラや動きは割と面白くなりそうな気配があっただけにものすごく残念でした。っていうか内部のジャグラー批評しようよ。相談して作ってればもっともっといいものが出来たはず。なぜこんなことに。

オルゴール人形のカードマニピュレーション:  
カードマニピュレーション。THERETO学生マジックって感じだけど一般的な学生マジックより遥かに技巧的で、ただし不思議さは半減してる感じ。学生マジックっぽい硬い、不自然な動きや、くどいあらためをオルゴール人形という演出で上手く補っていてよかった。ただ、オルゴール人形の動きの類は名手が多い故ただでさえ動けないのにそれ以上に動きが下手に見えてしまうデメリットもありそう。最初どんなものを扱うかすらちゃんと提示しないでゴーイングマイウェイって感じなので好意的に見てる人以外はちょっとつらい。あとずっと同じような技術力自慢しかしないのにルーティンが長い。

フレア:
ちょろっとマジックで他演者と絡んでからのフレア。悪くないけど印象にも残らない微妙な感じ。キャラか技か構成か、何かしら売りがあるといいのだけど。キャラは特に弱かった。こういう真面目な感じの中堅的演者を演出でもっとうまく盛り立てていけると夢奇房はもっと楽しい団体になりますよね。今回は前半のテンポの悪さに引きづられて、単独で空気作れるキャラクターでもなかったから少し入り込み辛い印象。

シガー:
批評出来る段階にない

白キツネ:
やることないならキャラクターとしてしっかり出して幕間としてだけちょろっとマジックっぽいことやればいいと思います。今回のじゃ一人のシーンがまるまる不要。しかもキャラクター押しっぽい感じなのに動きの精度がなぁ。


カードマニピュレーションその2: 
演目じゃないならそれはそれでいいし、見せる気ないなら別にいいんだけどそれにしては長い。そもそもなぜカード演者と関係ない、キャラもよく分からない人がまたカードやってるのか。あと最初のカードがスイカバーみたい。演目でないなら演出の責任?

バルーン:
流れは意味不明だけどとてもよかった。気分が明るくなるいいテンション。幕間としてじゃなくちゃんと見たい。うさぎいいねうさぎ。

ニワトリ:
ここで初めてちゃんと演目を見た気分。ニワトリという謎のキャラ設定といいテンポなデュオジャグリングがとても盛り上げてくれました。ジャグ力は仕方ないにしても2人の演技力の技量差は少し残念。筋肉!ニワトリの出落ちっぷり半端ないしもっともっと遊びまわってちょうどいいぐらいじゃないだろうか。もちろん今ぐらいの真面目具合もジャグリングルーティンとしてはとてもよいです。

四つ玉:
わたしの作ったものだしいつか別枠で。胸元の肌色が城の視認性を落としてたりしてたので衣装に対してもちゃんと口出すべきだったとそこは反省。ただ6週間という短い期間でやってもらった割にとても頑張ってくれたと思います。

マスク:
何度か見てる人でしたが今まで見た中で一番よかったです。表情や動きがすごくよくなってました。テンポもとてもいい。ルーティンで数箇所、現象をいくつか見せた後それの種明かしをしてるだけにしか見えない流れがあり残念。あと、パーツが出たり消えたりする仮面は現象の瞬間を隠してあげないと「ああいうものがあるんだ」というお客さんの印象を招いて、他のギミックに頼らない手品までおもしろくなくしてしまうと思います。不思議さより上手さ自慢、ギミック自慢みたいなのを重視してるように見えたのは残念。

悪魔:
パントマイムとマジックを組み合わせたコミカルな作品。すごい。すごすぎ。やってることはいつもの武井さんだけどどんどん上手くなってくのね。。。一人だけなんでこんなところでやってるの状態。有名なキャバレーショーとかにいてもおかしくない素晴らしい演技。圧巻。ただ「ハジマリ」「オワリ」は他になかったのだろうか…

巨人とまいなさん:
巨人がでかいリング、まいなさんが小さいリングでリンキング。これ、組み合わせ逆のほうがかわいくない?巨人設定がなんか無意味な気が。。。悪くないけど、見所があったかと言われるとそうでもない印象に残らない系。

KiMさん:
踊れる人が好きです。とてもよかった。演出的にマニポイは中盤に、ライトアップのみトリのほうがいいんじゃないだろうか。マニポイは落ち着いてみたいのにエピローグみたいな感じだし、エピローグにしては両方やるのは長い。トラブルがありちょっと残念だったというところは嘘はつけませんが、そんな中でも今回の公演をぐんぐん引っ張るものすごい力を魅せつけてくれました。トラブルがあったからこそ関係者には地力の高さを見せつける結果になったんじゃないかという。まさにマニポイのトップランナー。ただ昼の映像は今度見せてくださいw


こんなもんだろうか。割と辛口ですが、思ったところをざっくりと。

7.17.2011

夢トラWS2 象は鼻が長いー演技の文法「流れ」



「象は鼻が長い」

何の変哲もない日本語の一文ですが、実はこの文は言語学や国語学ではとても有名な一文です。

学問的な細かい話はどうでもいいのですが、この文の主語ってどれだか分かりますか?
主語の定義なんかも問題になってくるとは思いますが答えは一般的には「鼻(が)」が主語だということになっています。

じゃあ「象(は)」の部分はなんなんだ、という話にもなりそうですがこれは国語学では「主題」という用語を使い主語とは違うものとして扱います。

それぞれ、主題「象(は)」がその文が何の話題を扱っているかを示し、主語「鼻(が)」が話の具体的な対象を示します。


図を見てもらうと分かりやすいと思いますが、主題が前提となる文脈を示し、主語が話の要点である述部の具体的な主体を表します。


乱暴な話、最初の文が
「長い」だけでは何がなんだか分からないのは当然として
「鼻が長い」でも「象は長い」だけでも、何の話をしてるのかよく分かりません。

しっかりと前提となる情報をひとつずつ提示するからこそ、伝えたいことが伝わる。
当たり前のことではありますが、案外ないがしろにされていることも多いと思います。

ことジャグリングルーティンに関しては、お客さんの理解を無視した自己中な流れがなんと多いこと。

今回は、楽しく会話を楽しむのと同じように、ちゃんと伝えたいことを伝えるための大前提となる

演技の文法

の一番の基礎についての内容をお話しします。


わたしは日本語構文における「主題」「主語」の概念は、演技における技の「カテゴリー」と「具体的技」と似た関係にあると考えています。
カテゴリーは前回のWS記事で紹介したもののことですね。

日本語で「主題」を示してから具体的な「主語」「述語(この要素はあえて例えるなら技の発展とも言えると思います)」に入るように

オーソドックスなルーティンでは次の流れがどんなカテゴリーの技で構成されているかをしっかりと提示した上で具体的な様々な技を見せていくと効果的です。

ではこの「カテゴリを提示する」というのは具体的にはどういう行為なのでしょうか。
方法は多々ありますが、この最も大切なのは

「お客さんがその後の技を見る上で参照できる基準を示す」

という点でしょう。
特別な意図を求めないのならばまずは

「お客さんがそのカテゴリーの基本技だと認識して欲しい技をそのカテゴリーの最初の技に選ぶ」

ことが効果的です。

当然ですがその際は技術習得のための基本技ではなく、見栄えとしての基本となっている技を選ぶように注意してください。

基本技に向いているのは何か、という質問は難しいところでもあります。
ただし、提示したいカテゴリーによって有効なものは変わるとはいえ、基本的なルーティンでは

・ゆっくりな動きの技 

・連続技よりもより単発 技

・より自然な体勢で出来る技

・複雑でない、極力1つの要素しか持っていない技

・一回の所要時間が短い技

などが有効な場合が多いと思います。

さらに、場合によっては所謂「技」である必要すらない場合もあります。
高いトスを多用する小構成の前にお客さんの意識を植えに向ける動作をする、特殊な道具の使い方をするときは技を行う直前の形で一度道具を静止させる、など次に行う技の変化に気づくための前提情報の提示さえ出来るのなら、実質的にはメソッドはなんでもいいです。


最後に繰り返しますが、提示したいカテゴリーによって有効な情報提示は変わります。
実際のルーティンを作る際にはご自分の意図した流れには何が有効かをしっかり考えてみてください。

同じテーマ(カテゴリー)でまとめた小構成の一番最初にこうして基準となる情報を置いてあげることで、お客さんがさらなる発展技を見たとき変化に気づきやすくなります。
ルーティン作りを何から始めたらいいか分からない、という場合はまずはこんな感じで小構成からつくりはじめてみてください。
きっといい一歩が踏み出せると思います。

7.15.2011

夢トラWS1 座布団は椅子なのかーお客さんにやさしいジャグリング

「何やってるかよく分かんなかったけどすごかったよ」

ジャグリングをやっていない人とジャグリングの演技を見に行くと、時たまこんな感想をくれることがあります。
意識してみると思いの外いろんな人がこんな感想を持ってるようで、ジャグリングの演技に付随する「分かりにくさ」というものが気になってきます。

「何をやっているのか分からない」という評価そのものは、それだけではネガティブな評価ではもちろんありません。
しかしよく耳にするこの感想は、よくよく聞いてみるとどうも


「ジャグリングをやっているあなたは楽しめるかもしれないけれど、わたしはちょっと見れば満足。だってずっと同じことやってるだけでしょ?」


そんなニュアンスを含んでいるようでした。
もちろんその時に観たジャグラーが、ずっと同じ技を5分間続けていたなんて訳はありません。
高い技術力と多彩なバリエーションを織りまぜた様々な技を披露していたのにも関わらず、上記のような感想が出てしまっていたのです。

しかし数学をやっていない人がいろいろな数式を見たときに、単なる文字の羅列で全部一緒に見えてしまうのと同じように


ジャグリングをやっていない人は単なる技の羅列では全部同じに見えてしまうんです


いくらルーティンに入れる技数が多くても、それを同じ技だと見られてしまえば元も子もありません。
圧倒的に見栄えの違う高難度の技をいくらでも持っている上級者ならまだなんとかなるかもしれませんが、技数の少ない初中級者にこれはまさに死活問題です。

そんな問題になんとか立ち向かってもらおう。それがこのWS「座布団は椅子なのか」のメインテーマです。

前置き長いでしょう。知ってます。そういう子なんです。
でも、一番大事なのはメソッドそのものよりそのメソッドが必要な理由だと思っています。
WSの内容を超えて、自分なりの方法を模索しようとしたとき一番大事なのはメソッドではなく乗り越えるべき問題ですし、そもそも体験してもらうことに主眼に置いたWSの説明をだらだら続けるよりは、その背景の説明に時間を咲いたほうが実際に試してみると気に有効だとも思います。



さて、さらなる前置きが始まってしまう前に本題に入っていきましょう。

タイトルにある「座布団は椅子なのか」の一文。
どう思われますか? 座布団は椅子でしょうか?

「椅子だ」と即答出来る人から「椅子じゃない」と即答できる人、悩む人、この文そのものに文句を言い出す人、いろいろいると思います。

でも

座布団、PC、リクライニングチェア、トースター、パイプ椅子、ベンチ、冷蔵庫、電子レンジ

こんな単語群の中から

「座布団をなんかのカテゴリーに入れて」

と言われたら、多くの人が座布団を椅子と同じ物としてカテゴライズすると思います。


しかし

座布団、クッション、テーブル、テーブルクロス、棚、椅子、絨毯

こんな単語群だったらどうでしょう。
前のものより分けづらい単語群ですが、座布団を椅子と同じカテゴリーに入れるひとはぐっと減るのではないかと想います。

このように、何かについて理解、整理しようとするとき他のものとの性質を比較して評価を下す行為は我々の日常にありふれています。

端的に言い換えると


人はものごとをカテゴリー分けして理解する


と言うことが出来るでしょう。

この特性をジャグリングにも適応してみよう、そんな試みです。


夢トランクのWSでは、初中級者のジャグリングの演技において主眼は道具や技である、という前提のもと主に「道具の使い方」という側面でカテゴリー分けを行っていきました。

「自分の使うジャグリング道具の使い方で異なったカテゴリーを考える」という題を与え、実際に参加者に道具の使い方を考えてもらいます。

さて、このワークをするときに、是非気をつけていただきたいことの一つに

「技術習得を目的としたカテゴリー分けは一旦忘れる」

というところがあります。


ボールでいうなら例えば「ミルズメス系」「シャワー系」、デビルスティックで言うなら「ソー系」や「アイドリング系」など教本に書いてあるカテゴリー分けは技術習得を目的とした場合は有効ですが、お客さんからどう見える化を基準にした分け方ではありません。

デビルスティックのソー系の技を例にあげると、縦向きのソート横向きのソーではお客さんにとって印象は違うでしょうし、横向きのソートプロペラはおそらくほぼ同じことをしてるように見えるはずです。
今回の目標は「よく分からない」ジャグリングからの脱却であるということを意識して、ひとつひとつの技道具の使い方が何をしているように見えるのか注意してカテゴリーについて考えてみましょう。

もちろん道具によって出てくるカテゴリーは違いますし、同じ道具でも持ってる発展技の種類やその人の完成で様々なカテゴリーが考えられます。
柔軟な発想を心がけ、同じ技で別のカテゴリーを考えてみたり、普段の練習でもカテゴリーを意識して技に取り組む時間などを設けると効果的でしょうね。


ルーティンを実際に作る際にはこうして分けられたカテゴリーを利用して、同じカテゴリーの技はひとつの小構成にまとめるように気をつけてみます。
そうすることで、見ているお客さんが「今は何々をしているパート」と理解しやすくなります。
お客さんにこの理解があれば、その枠の中で様々な発展を見せたときにそのカテゴリーをヒントに変化に気づきやすくなります。
例えば演技中唐突にビハインドザバックを単発でやっただけでは見逃されることもあります。
でも事前に簡単なボディスローをいくつかやったあとならば「あちこち身体を通す技をやっているんだ」お客さんのボディスローへのセンサーは高まってますから技や変化に気付いてもらいやすくなります。
もちろんこういったお客さんが期待する「予定調和」を裏切るのもまたテクニックのひとつですが、それはまた後の話。


まずはしっかりとお客さんに分かりやすい演技を作るべく、技のカテゴリー分けから初めてみましょう。

夢トラのやり方 はじめに

夢トラでは年一回の定例公演を行っていましたが、非常に若いサークルな上に技術的に熱心なメンバーもほとんどいませんでした。

その環境で舞台公演を行うということが非常にハードルの高いことであることは想像に難くありません。


それでもなんとか2008年から2010年の三年間はぱわぁの指揮のもと、そして今年2011年はついにぱわぁの手を離れ後輩たちの手のみで、舞台公演を行うことが出来ました。

まだまだ発展途上なサークルでレベル、内容など批判が多いことも存じていますが、それでもなんとか形にすることを続けることが出来たという事実は代えがたい夢トランクの財産だと思っています。


自分なりに振り返り、これまでの舞台公演を可能にした理由として最も大きいものは「ルーティン作成ワークショップ(WS)」の存在だと思っています。

技数も少ない、演技など一度もしたことがないような初心者が演技をする上で非常に重要になる「構成」の知識。

それを夢トランクでは早い時期にある程度簡略化し整理したWSという形でメンバーに提供したことにより、暗中模索のようなルーティンづくりの作業の助けとなったのだと考えています。


このカテゴリー内の記事では、そんな夢トランクのWSの内容を簡単にではありますが紹介します。


言うまでもありませんが、これはルーティンづくりのある一つの方法に過ぎません。

また、技数の少ない初心者がいかに演技を成り立たせるかという側面に基づいたWSですので内容は非常に基礎的かつ限定的になっています。

それを理解した上で読み進めていただければと思います。


参考に、このWSで扱う知識にほぼ忠実な形で演技を作った演技の動画を紹介します。

技術レベルは低いにも関わらず非常に高い評価を頂いている作品です。


Wunderkammer - C!RCA

今モントリオールはMontreal Complement Cirqueというサーカスフェスティバルをやってるのですが、そこでの目玉ショーの一つであるWunderkammerというショーを見に行ってきました。

オーストラリアの割と有名なカンパニーC!RCAによる公演。

メイキングと演出の人の話


出演者は7人、演出はきっちりつけてあって所謂ストーリーはなし。
複数人が出てる時間はかなり長くてハンドトゥハンドの技術をつなぎや全体演出の要にしてる。その上で要所要所はソロやデュオの演目で締める。

身体性からのアプローチでどこまできれいな絵を描けるか、というのに挑戦しつつ演目はきっちりこなす感じ。

基本的にすごく幻想的でシリアスな雰囲気なんだけども、ひたすら脱衣するので笑いはよく起こる。

美しい→脱ぐ→美しい→脱ぐ→脱ぐ→脱ぐ

って感じ。オーストラリア人はなんであんなに脱ぐのが好きなんですか?(偏見)
でも鍛え上げた身体での脱衣はやっぱり美しいです。

小道具の使い方の発想や演目の特性の理解のレベルが高くて、アクロバットがほとんどという演目自体のバリエーションの少なさに対して観た充実感は相当高い。

よいショーでした。



新設

記録用。想定読者は1年後の自分。
どうなるかね。